リード?リーシュ?引き綱?
※だいたい犬の首につけるヒモのことを、ヨーロッパでは「リード(lead)」と言い、北米では「リーシュ(leash)」と言うことが多い。日本では「引き綱」だろうか。ただ、ベアドッグの作業におけるこのヒモの意味は、いわゆるコンパニオンドッグ・家庭犬のヒモとはかなり異なる。通常、これらの犬の場合は、散歩でも何でも飼い主の意志が先にあって、ヒールウォークという状態で犬が飼い主の一歩あとを歩くのが理想とされ、それがめざされる。リード・引き綱は、散歩などに「犬を人が連れて歩く」というイメージだ。ベアドッグの場合、歩くポジションは臨機応変で、フォーメーションが幾つかある。このヒモを通して犬の心理を掴んだり(特に夜間)、ちょっとした合図で左右前後に動かしたりするので、リード・引き綱という言葉自体がちょっとそぐわない。「連れて歩く」のではなく、このヒモを通して意思疎通をおこない「一緒に作業をする」イメージが強いため、私は「リーシュ」を使うことが多い。
リーシュは仔犬の頃に太く、ある程度成長したら細くする。魁は生後1年で40s弱まで成長したが、当時は11oの山岳用ロープ(ザイル)を使ってリーシュを作ってあった。しかし、自我の発現やちょっとした反抗期を経て、1歳半からは6oの細引き(アウトドア用のロープ)で作った長めのリーシュを使っている。これは、ヒグマと対峙したときに、できるだけ犬の負担にならないためと、フライライン同様の方法で、片手できれいにリーシュを保持し長さ調整をおこなえるため(写真)。この状態で軽く拳を握ると50pのリーシュにもでき、写真のように手を開き、指を犬の方に向ければ、自然にパラパラとほどけて適切な長さまで伸ばせる。長さに関しては、やはり私とヒグマの距離がベアスプレーの使用に適した距離となるように設定してある。
また、北米・軽井沢では、カラー(首輪)ではなくハーネス(胴輪)を使うが、私の場合は上記の「意思疎通」を重視しているので、カラーを用いている。細いリーシュを首につなぎ、軽く張っておくことで、闇の中でも犬の頭の向きや緊張度も伝わってくる。ときには、平坦な道で目をつぶって練習したりもしている。
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