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 対策その他:高所作業車による上空からの観察

 デントコーン農地の被害は、周辺の調査をすれば「ある」ということはだいたいすぐわかるが、それがどの程度どのように起きているかがタイムリーにはほとんどわからない。刈り取り直後の農地を歩き回りひとつひとつ食痕をチェックしてデータ取りしていくしかないのが通常だ。一番いいのは、その年のヒグマの動向をタイムリーに知るために、被害が起きている時期にその被害状況を確認できることである。そこで、何カ所かの被害の顕著なデントコーン農地を上から一望するために、観光課職員の発案で高所作業車が用いられた。こういう作業は協力者があってのこと。何かの仕事のあとに少しお目当てのデントコーン脇に寄ってもらって、ちょっと箱に乗り自慢のアームを最大まで伸ばしてもらう。
 この観察からは降農地ヒグマの頭数こそわからないものの、縦横無尽に農地内を歩き回るヒグマの様子が見て取れた。ヒグマが降りている時期の鬱蒼としたデントコーン農地には、なかなか侵入して詳細な調査ができないため、有意義だった。
 単なる興味でおこなっているように見えるだろうが、その興味・好奇心がヒグマを知っていく上でじつは最も大事かも知れない。例えば、一枚の広いデントコーン農地でも、ヒグマが食べる場所とそうでない場所がある。それは、道路・山の斜面・植林地・薮・街灯・そして人家などの配置と一定の相関があって、ヒグマが好んで食べる場所を理解できれば、逆に、ヒグマが何をどの程度嫌って避けているか(忌避しているか)を理解することになる。何枚ものデントコーン農地でこれをやることで、ヒグマの忌避対象がわかりようになり、それを使ってヒグマのルートを数十メートル移動させたり、あるいは出没を消すことさえ可能になる。


 お伝えしたように、上川町では「クマコネージャー」というクマ警報装置・兼追い払い装置が導入されている。また、興部ではシカの死骸を微生物によって分解する画期的な方法が試されている。ヒグマの管理あるいは野生動物の対策には、様々な角度から新しい方法が求められている。因習的な方法にとらわれず各市町村で積極的に試し、その結果を元に情報交換をして対策のヴァリエーションが普及していくのが望ましい。

 
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