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非常にきっちり張られた1重5段の電気柵で、メンテナンスも十分できている。しかし、この電気柵はあくまでシカ用の設置(30-60-90-120-150p)のため、ヒグマに対しては十分効果が得られず、周辺の山にヒグマが活動する場合は、遅かれ早かれ「掘り返し」をおこなう個体が生じることになる。そして、その数は年々増加する可能性が高い。(遠軽町・丸瀬布)
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一方、こちらは甘い香りの漂うリンゴ園を囲ったクマ用の基本的な電気柵(20-40-60p)だが、貧弱にも見える高々60pの電気のヒモがヒグマの侵入を完全に防ぎ、接近をもなくしていた。疑い深い私が、背後の山に入ってクマの存在を確認しに行ったほどだが、すぐ裏山のヒグマとこの果樹園は無関係に存在していた。(上ノ国町) |
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左写真が、クマとシカの両方に利く電気柵の設置方法のひとつ。ワイヤーはクマ用の15-30-45pに加え、上部に90pが一本回してある。グラファイポールの長さが示すように、もし仮にシカが侵入するケースが生じるようなら、ワイヤーを上に加えることを想定してある。ここでは、この柵でクマとシカのダブル防除に成功していたが、資材費用としては、シカ用電気柵とほとんど変わらない。
経験的には、20-40-70-100pの4段のワイヤーで、ほぼシカとクマ両方を防ぐことができると思う。(上川町) |
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シカ用電気柵では、ヒグマに対しては最下段が高すぎるため、上写真のようなことが徐々に地域全体で頻繁に起き出す。これが、ヒグマに一度学習させると厄介な電気柵下の「掘り返し」だ。上写真はどちらも農地から出るために掘った跡だが、シカ用電気柵でメンテナンスが十分されていないと、ヒグマは掘り返しを最も学習しやすい。メンテされたシカ柵に最初に鼻で触れれば、そのクマは電気柵を忌避して飛び越えようとか掘って入ろうとか突進して入ろうとかはしなくなる。が、何も知らずくぐって背中に触れたくらいだと、どうやら十分な忌避は引き出せず、「掘り返して入ろう!」とひらめくらしい。これは特定のクマの性質ではなく、一般的にそうなる傾向が強い。将来的にでもクマを防ぎたいのであれば、シカオンリーの柵は御法度だ。(左右とも遠軽町・丸瀬布) |