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《お知らせ》

「ヒグマ出没!ガオー!」という従来の看板を改め、
「いこいの森」周辺では、
このような事実本意の看板を
設置しました。


派手なデザインで
地味な活動をアピール
「ベアドッグ」





「白滝ジオパーク」

北海道・来たら白滝!


丸瀬布のアウトドアとヒグマ情報

作成中

丸瀬布の自然と「いこいの森」
大平高原とオホーツク海側の最高峰・武利岳

 丸瀬布は湧別川および流域の河岸段丘に沿って北大雪山塊に深く入り込んだ細長いエリア、いわゆる中山間地域である。人口は毎年減り続け現在2000を割ったが、湧別川水系・武利川流域には「いこいの森」「マウレ山荘」を双璧としたアウトドアレジャー基地があり、ここをを中心として自然豊かな河川や山塊が、釣りや山菜採りをはじめ、登山、MTBサイクリング、散策、昆虫採集、写真撮影など様々なアウトドアアクティビティーのエリアとなって道内外から年間12万人を越える来訪者を呼んでいる。
 地中には最終氷河の名残の氷結などもあちこちに見られ、ナキウサギ生息地、コケモモ群生、アカエゾマツ原生林などが人里の標高近くから散在する。エゾクロテン、ヒグマの生息状況もまずまず健全で、オホーツク海側の最高峰武利岳あるいはそこから続く平山の尾根筋に向かって、山は険しくあくまで深い。
 ほ乳類だけではなく、昆虫では地道な保護活動も実を結びオオイチモンジを求めて全国から蝶マニアが訪れる。残念なことに武利ダム・野上堰堤などによって現在は一時的に河川が寸断されているが、昔から「アメマスの川」と名を馳せた武利川には、以前ほどではないが今なおアメマス・オショロコマが豊富に泳ぐ。その流れの上をヤマセミが滑空し、遥か上空をオオワシ、オジロワシに加え、クマタカ、クマゲラなどが飛ぶ。そんな豊かな自然に囲まれたキャンプ場が「いこいの森」だ。

 「いこいの森」には、ナローゲージの機関車・雨宮21号(雨宮号)が観光シーズンには「いこいの森」内を運行している。現在、このような本物の機関車が毎日運行しているような場所は、私の知り限り日本には存在しない。ちょっと子供じみたワクワク気分で実際に乗ってみると、ガタゴトガタゴトと機関車らしい音とともに山の斜面や武利川の風景がゆったり流れ、時折汽笛が山にこだまする。10分間、夢のような時間が流れる。ここの豊かな山や川抜きに、この雨宮号の乗客になるためだけにでも、この里を訪れる価値があるかも知れない。

 さて。
 ヒグマに関して、北大雪全体の生息数は定かになっていないが、このレジャーエリア周辺5q以内に活動するヒグマの数は2006〜2008年調査でだいたい25頭±5頭。現在は、2004年の大量捕獲以来生じたヒグマ社会の攪乱期にあり、特に若いクマが増加傾向が続いている状況にある。恐らく、同じ範囲で40〜50頭のヒグマが活動しているだろう。それだけ多くのヒグマがこのエリアに活動し、これまで事故につながるような危険な遭遇や異常性を持ったヒグマは出ていない。もちろん、ヒグマを目撃する人、あるいは遭遇と表現していい接近はあるが、ここのヒグマはとにかく速やかに遠ざかり、近くても逃げる。様々な方法でそう教育し、その効果は現れていると思う。さっさと逃げるため、知床の「新世代ベアーズ」のように現れたヒグマを呑気にいつまでも眺めることはできないが、行く手を横切ったり山の斜面にヒグマを目撃できるだけでも、今の北海道ではラッキーなことかも知れない。ヒグマに遇った人は誰も恐怖を口にしない。興奮気味に喜んで「一生でヒグマが見られるとは思わなかった。これで明日死んでもいい」などと大袈裟にいう。「感動した。来てよかった」と短くいう人もある。
 増えている若いクマに悪い学習させさせなければ、そして、訪れるヒトが一定レベルでベアカントリースキルを身につけてくれることで、恐らく今後も、ヒグマがいるにも関わらず、ヒグマによって怪我をする人はこの「いこいの森」エリアでは生じにくいだろう。それは偶然そうなるのではない。「いこいの森」を管理する職員が真剣に安全確保に乗りだしてくれたからだ。札幌にせよどこにせよ、ちょっと山に入ったキャンプ場ならヒグマが近隣に存在しない場所など北海道にはないが、ここまで正面からヒグマの存在に対峙し、対策を考え動いている行政というのは、まず存在しないだろう。結果、現在の「いこいの森」周辺は、道内で最も合理的で効果的な対ヒグマリスクマネジメントを実現しつつある。「いこいの森」内はもちろん、その周辺における様々な取り組みが、ヒトとヒグマのどちらも望まない事故を未然い防ぎつつ、無闇なヒグマの捕殺をも抑えている。
 「大自然に囲まれた」というのは「ベアカントリーに囲まれた」と言い換えても差し支えないが、その豊かな自然を維持しながら、いかに安全にそれに触れていくかは、今世紀の課題とも言えるかも知れない。「いこいの森」は道内各地にさきがけ、そこに一歩足を踏み出しているキャンプ場だ。

白滝のキャンプ場
 丸瀬布そのものではないが、現在、遠軽・生田原・白滝・丸瀬布の4町村合併で広大となった遠軽町で、「いこいの森」と対照的なキャンプ場が白滝にある。電動ゴーカートもテニスコートもパークゴルフ場も昆虫館も温泉も機関車もないが、私個人はここがお気に入り。こうやって「いこいの森」と比較し羅列して書くと何もないようなキャンプ場だが・・・・・まず、立地条件が素晴らしい。そして、風や山や空や、純朴でありのままの自然を肌で感じることのできるキャンプ場だ。あまり手を取り足を取りではなく、まあ大雑把に山積みにされたたま切りの丸太を、備え付けのオノで自分で必要なだけ割って焚き火を起こし、五右衞門風呂をわかして入ることもできる。
 「いこいの森」が遊園地・多目的レジャーランドだとすれば、白滝のキャンプ場は生粋のキャンプ場。それもかなり上質だ。私自身、学生の頃、ユーコン、アラスカ、北海道で年間の250日以上をテントで暮らした時期があるが、白滝のキャンプ場はカナダやアラスカのキャンプ場を彷彿とさせる。自然を楽しむコツは、誰かが何かを与えてくれるのを待つのではなく、ただ足元にある取るに足らない何かに驚き、楽しみを見つけることだろう。だから、本当は箱ものやイベント、サービスは最低限でいい。恐らく、北米でも日本でも、キャンプ暮らしに慣れたアウトドアマンならこちらをはるかに高く評価するだろう。
 とはいえ、私は「白滝のキャンプ場」などと勝手に書いているが、正式名称を知らない。よほど私がずぼらなのか、よほど宣伝に乏しいキャンプ場なのか・・・・まあ、集合住宅の如く足の踏み場もないほど混雑するキャンプ場は、確かに日本人らしいが私自身はどうしても肌に合わない。この白滝のキャンプ場のゆったりとしたたたずまい。これが真の贅沢だろう。身も心も委ねられる白滝のキャンプ場は私にとっては貴重な存在だ。
   
 清楚という形容がふさわしいたたずまいの白滝のキャンプ場。冬期の気象条件は丸瀬布よりはるかに厳しいだろうが、私なら、閉鎖する秋から開園の春まで、管理人と称して厳寒の冬をここで暮らしても悪くない、などとつい思う。



「いこいの森」周辺のヒグマ情報(ヒグマの活動と傾向/出没マップ)

ヒグマ出没マップ(画像クリックで拡大表示)
 左の「ヒグマ出没マップ」は2007年前後のヒグマ出没認知ポイントを地図に落としたものであるが、原則的にクルマで行けるヵ所を表示している。つまり、このピンクの点は、ヒトとヒグマの交わりを表していることになり、実際はピンク点のない場所でも同様以上のヒグマの活動があると解釈しなくてはならない。つまり、「ここはヒグマがいませんよ」と軽率に言える場所が、事実本意に言えば存在しない。
 私自身が調査やパトロール・追い払いで対面するヒグマは例年7頭前後。回数にするとにするとその2〜3倍だろう。昨今では、道道・国道・自動車道などで毎年何件か、クルマがヒグマの衝突する事故が発生している。注意の仕方にもよるが、一般のキャンパー・観光客がヒグマを目撃あるいは遭遇する機会も十分ある。
 「いこいの森」からマウレ山荘にかけての人里出没は、キャンプ場や観光客の食糧を目当てに降りていたわけではなく、このエリアのデントコーン農地が周辺の山のヒグマのエサ場となっているからだが、ここにしっかりクマ用の電気柵を張る以外、このエリアへのクマの降里を止める方法はない。が、農家の意識・良心は呼び込んだ観光客・キャンパーの人身被害にはまったく向きそうにはない。しばらく、ヒグマが何十頭も歩き回るキャンプ場エリアは続くと考えられる。遠軽町のお役人は、人命のかかったよほどスリリングな博打行政が好きなのだろう。
 現在、人里周りのヒグマの傾向としては、あくまで若グマ主体となっていて、若い母グマが子を連れているケースもままある。 



丸瀬布の山・川・生きものたち

 丸瀬布から白滝にかけての自然を紹介しよう。全部は紹介できないので、岩井の好みと独断で。

武利岳
 武利岳の標高は1876m。これはオホーツク海側の山岳としては最高峰だ。武利岳の北側山麓は比較的険しく、深い山並みが続いている。武利川を遡り、看板通りに車を進めると武利川から離れ、しばらく標高を稼いで武利岳登山道入り口につく。この一帯は、もちろんヒグマの生息地。平山登山道とならび、遭遇や目撃も、まあ普通に多い。しつこいようだが、だからといって危険視するのも考えもので、恐れおののいて避けているよりは、スキルを身につけて楽しんだほうがいいと、私自身は思う。ちなみに、平山・武利岳ともに、小学校などの遠足登山などに使われる山でもある。ヒグマはともかく、秋の尾根筋の強風と気温低下は恐れたほうがいいかも知れない。適切な装備を持とう。このエリアの山の気候は、だいたい中部地方あたりの山と比べて1000mほど嵩増しして考えればいいので、武利岳の山頂は、北アルプスの縦走路くらいの気象条件ということになる。
 武利という漢字が当てられ「むり」と読むのが地元では普通になっているが、正式にはアイヌ語の通り「むりい」と読む。「ムリイ」とは「イラクサの群生」という意味だそうだが、ヒグマの調査で斜面を登っているときなど、「確かに!」と頷けるときもある。武利の集落近くには「無利意平」という稜線があり、また「無類岩山」の語源もこの「ムリイ」のようだ。イラクサじゃなくてアイヌネギだったら、アイヌ語のまま頑固に呼んでニコニコしていられるが、イラクサだからなあ・・・・ムリでもムリイでも、呼び名はどちらでもいいかな。

平山
 キャンプ場同様、お勧めなのが白滝・支湧別川の源流にある平山だ。白滝側からの登山ルートはいくつかあるが、支湧別本流筋のメジャールートで十分面白い。尾根筋は高山帯で、ウラジロナナカマドの林の上にハイマツ、コケモモ群生地が広がる。雪渓が残る時期には雪渓の溶け際から息吹く新芽を食べるクマに出会え、それ以降の時期にはウラジロナナカマドやハイマツ・コケモモの実を食べるクマを見ることができる。ときどき、無知な登山者が通報でもして「○月△日ヒグマ出没!」の看板が登山道入口に立つが、あまりに滑稽で思わずクスリと笑ってしまう。「クマは生息。出没しているのはこっちだよ!」と。大丈夫、彼らの場所にヒトが出没しても捕殺駆除はされない。平山のベアカントリーにちょいと出没しに行ってみよう。


武利川と武利ダム
 武利岳を源流に持つ武利川は、50年前に比べると伐採の影響で水量が減るなど環境変化が著しいと言われるが、今なお清らかな水を比較的豊富に持っている。この川も、丸瀬布川・湧別川上流同様、丸瀬布市街より上はヒグマの生息地と見ていい。道道・武利線から山の落ち口などにヒグマが観察されることもときどきある。この湧別川屈指の支流は、下流域のダムなどが出来る以前は「アメマスの川」として名を馳せ、現在でもその名残を見せる。「いこいの森」付近からアメマスはまずまず豊富に生息し、武利ダムに降りた個体は、ときに70p程度まで大型化する。そこから、各支流に入ると、上流部は特にオショロコマの聖域になるが、現在なお、この天然イワナの生息数は多い。下流部のヤマメ(サクラマス)に比べると、イワナは骨が硬く北海道ではどちらかというと敬遠されてきたが、そのことが現在までアメマス・オショロコマを生かしてきた理由のように思う。が、林道が沿う支流などでは、近年生息も減少傾向をたどりつつあり、釣りは、できるだけ「その日に食べる分をいただく」程度にとどめておきたい。武利川流域を遡行するだけでも楽しいが、これらの支流群は、6月以降は特にヒグマの活動が多いので、不用意な行動は慎みたい。


神霊水


山彦の滝・鹿鳴の滝





 昔の探検映画か遭難映画で見たような、ちょっとした奇岩の山も北大雪には多い。中には、自衛隊が訓練に使っている岩壁もあるらしい。一方で、山頂部が平らな不思議な山もこの山塊の特徴だろう。鍋を逆さに置いたように見える「鍋山」という山もある。鍋山はまだいいとして、倭人がつけた山や川の名には面白みがない。「雨降り山」という山が武利川流域にあるが、「そんなの、誰かにとっての偶然だろう!」「だいたい、その山に雨が降っていたら、隣の山だって雨だっただろう!」とたしなめたくもなる。名に関しては、アイヌのつけた名のほうに意味があって面白い。ときどき、「九頭竜川」(福井)やら「北鎌尾根」(槍ヶ岳北)という名が羨ましく思えるが、山の実質は深く険しく豊かで、なかなかのもんだ。。


大平(たいへい)高原
 上の鍋タイプの山の稜線筋にできた山上農地で、丸瀬布市街からは450m、「いこいの森」からでも400m弱登ったところにある。(標高は570〜690m程度)地元では高原などと呼ばず、単に「たいへい」と呼んでいるが、遠軽町の観光案内では、それらしく「高原」がつく。もちろん、天然の高原ではなく、鬱蒼とした森林を伐採したあとにできた人工的な高原、というより山上農地だ。周辺は東西南北どこも森林で、運がよければ、この開けた牧草地の先にヒグマが歩いたり寝転がったりしている姿も見られる。農作業・町有林作業関係のために舗装された町道が国道333と武利方面から上がっていて、ともすると錯覚を起こしがちだが、ここはどう見ても山の中だ。太平周辺はヒグマが多いことで有名な場所でもある。登る人は少ないが、それでも年間にクマ目撃件数が10〜20件ほどはある。遠軽町やマウレ山荘では「太平の星空」を売りにしているが、クルマから出ないならいざ知らず、ヒグマの知識やスキルに未熟な人間が夜間にうろつけるような場所では残念ながらない。特に昨今、こんな山の上にまでデントコーンが栽培され、周辺からヒグマが寄って、牧草地だろうがアスファルト農道だろうが歩き回る。



この山の生きものたち

ヒグマ
 知能イヌと霊長類の間。嗅覚はイヌの数倍鋭敏で、いざとなったらその攻撃力・破壊力は他の追随を許さない。現在の北海道では、オスの最大級は500sクラスだ。こんな強獣が周囲の山に普通に存在すること自体、すごいことだなあと、ただ感心する。なおかつ、この野生動物の攻撃性の低さ。ここには素直に感嘆する。北海道では、最も知られず、モンスター的に恐れられているヒグマだが、少なくとも一定のベアカントリースキルを実践していれば、近隣にいるから危険という種類の動物では決してない。


エゾシカ
 エゾシカはニホンジカの亜種で大型種。北海道では、今や害獣キングの様相を呈しているが、秋に山に響くオスの雄叫びなどは、冬の到来を予感させる風物詩的なものだ。山を歩いていて、こちらを警戒してキャンキャン鳴くのもまたいい。今後、ヒトがシカをむやみに増やすことなく、害獣のレッテルが取り外されればいいなあと、そんなことを考える。


エゾクロテン
 エゾクロテンは、全長60p程度のイタチの仲間。現在でもその生態がわからないことが多く、知床でも精力的に調査・研究がされているが、外来種のニホンテンとの交雑が考えられ、北海道における生息域も減少している可能性がある。幸いにして、北大雪山塊にはいまだクロテンが比較的多く棲む。クロテンと呼ばれるゆえんは、夏毛が黒っぽいことから。動物写真家などによってよく撮影される冬毛のクロテンとは別に、右写真のような時期もある。ロシアで言うセーブルがクロテンにあたり、その毛皮は高級品とされた。柔らかくしなやかで、毛が細くて肌触りがいい。
 自分より大きなニジマスを捕獲して水の中から引きずりあげ、はるかに大きなキツネにも樹の上から降りてきて対等に威嚇し合う。夜間には寝ているカケスを捕獲し、ネズミならそう簡単に逃げ切れない。私自身は、この動物に「北海道最強のオールラウンダー」という称号を与えている。樹上生活者のクロテンはヒグマのルーツとも考えられ、サルをルーツに持つヒトと対比しうる。大地に降りたクロテンは、身体を大型化し外敵に適応し気性を穏やかに変化させ、同じく地上に降りたサルは、脳を大型化しそこの生活に順応したと、簡略化して捉えることも可能だろう。クロテンの手は、形状・機能がヒグマに酷似している。


キタキツネ
 こちらも、一時期、ドラマや映画で取り上げられ、北海道のマスコットのような扱いを受けた野生動物だが、現在では害獣としての扱いが一般的で、北海道各地でかなりの数が毎年有害駆除で捕獲されている。外来種エキノコックスの宿主であり、それが嫌われる理由のひとつのようでもあるが、その寄生虫も自然に北海道に渡ってきたものではない。キツネを嫌う前に、そのヒトの過失にも目を向けたい。以前はよくあったドライブインのエサねだりギツネとは異なり、山の野性に暮らす個体からは、その自然の厳しさと、そこで暮らすたくましさを感じる。


オオワシ・オジロワシ・イヌワシ
 こうして写真にしてしまうとどうということはないが、ワシ類は、近くに寄るとバカでかい。ほとんど怪鳥の域に達している。ワシ類は、おおかたシカの動向に適応しているようだ。北大雪でも、シカ駆除・狩猟が盛んになるにつれ、どこからか遠征してくるようになっていて、一部は営巣しているようだ。特に、上空からの視界の利く積雪期はオオワシ・オジロワシがよく見られ、層雲峡方面からのイヌワシの飛来もあるらしい。シカ死骸を見つける上空からのセンサーとしても、カラス・カケスとともに働いてくれる。


クマタカ
 クマタカの語源「クマ」は大きくて強いという意味。単独で空を飛んでいても、ワシ類同様その大きさはよくわからないが、カラスに追いかけまわされたりすると、その大きさに驚く。個体識別ができていないので数はわからないが、比較的よく見られる大型の猛禽で、これを見ると、川のヤマセミ同様、何か得した気分になる。ワシ類のようにのんびり枝に止まっていることを見ることは少ないが、「いこいの森」周辺では、空高く飛ぶ姿を見られるかも知れない。
 私自身、自宅からもときどき目撃するが、なかなかいい写真が撮れず・・・・「いこいの森」周辺から見られる大半は、この写真のような姿かも知れない。


コゲラ・アカゲラ・クマゲラ

 キツツキのうち、コゲラ・アカゲラは比較的人里周りの林などにもよく見られる。クマゲラは大型で、それより古い森、直径40p以上の樹からなるエリアに多い。とはいえ、山から山に移動する際には谷を空高く横断するため、人里近隣でも飛翔する姿は見られる。独特の鳴き方で飛ぶことがあるので、それで真上に発見することも多い。クマゲラは素っ頓狂な目つきの鳥だが、赤い帽子がチャーミングで、存在感はある。


ユキウサギ


エゾリス
 



ヤマセミ
エゾフクロウ


                        


オオイチモンジ
 オオイチモンジは丸瀬布を代表する蝶で、市街地の街灯のモチーフにもなっている。この蝶を求めてここを訪れる蝶コレクターも多いが、オオイチモンジを研究し、繁殖している研究家がいることも忘れたくない。私の知識からすると、この蝶の希少性あるいは素晴らしさを語る資格がないが、10年後も50年後も、ここに来れば、いつでもオオイチモンジが飛翔する姿を見られるふうであって欲しいと思う。昨今、誘因餌で餌付けして大量に捕る方法が見られはじめているが、それはやり過ぎだ。また、甘い香りの誘因餌がヒグマを引き寄せる可能性もある点で、野放図に用いるべき方法ではない。のんびり丸瀬布の自然の中を歩いていれば、それこそ自然に、優雅に飛ぶオオイチモンジが見られるはず。コレクションで捕獲したければ、それでいいと思うのだが?
 専門家ににわか学習したおかげで、このところ妙に愛着がわいて、よく見つけるようになった。メスは優雅にヒラヒラ飛ぶのを見るが、オスを見つけるのは、だいたいうちの犬の糞の上。「その糞は特に臭いからやめたほうがいいよ」と言うのだが、そういうフンに限ってオオイチモンジのオスは好きなようだ。上の写真も、フン好きの一枚。私は、メスもベアドッグの糞に来ていると思うのだが、専門家は否定的な見解だ。 

通称雪虫
「雪虫が飛ぶと雪が降る」
 このように北海道では言われる。
「おっ、雪虫か」と気がついた瞬間、脳裏に真っ白な世界が交錯する。雪のない寒々とした風景の中に、まるで雪がチラホラと舞うように飛ぶ雪虫は、何か特別な意味合いをもっているように思われる。
 雪が降る時期の直前に集団でハッチ(羽化)でもするのか・・・小さくてきっと他愛のない虫だが、生態を詳しく調べようとしたためしがない。
 雪虫が飛ぶと、雪が降る。私にとっては、いつまでもそういう不思議な虫でいい。


花たち

 この花たちは、どこかの高山植物かと思いきや、じつは私の庭で草刈りをしようと思ったら一生懸命咲いていたので、ついいつもクマの糞や足跡ばかり撮っているレンズで、できるだけ可愛く撮ってやったもの。ちなみに、クマの糞は、可愛く撮ろうとしたことはない。私はこの花たちのどれも名を知らない。刈るのを躊躇したが、蚊やブヨの温床となるので、犬のまわりだけは刈らしてもらった。実際はここに載せた倍以上の種類の花々が咲き乱れていた。人は雑草と一括りに言うが、雑草もいい。私は変に植えたコスモスやチューリップより雑草がいいかも。


白滝黒曜石遺跡ジオパーク
 外部リンク:白滝ジオパーク(遠軽町)
       
経済産業省・白滝ジオパーク
       
白滝ジオパーク支援地質グループ

       
日本ジオパークネットワーク



遠軽町のヒグマ対策と捕獲数
遠軽町のヒグマ捕獲数(射殺・捕殺数)は現代の北海道にあっても突出している。2011年の10月までのデータでいえば、道内に、ヒグマの年間駆除数が10頭を超える市町村は20市町村あり、これは北海道内179市町村の11%にあたる。北海道は世界で最もヒグマを殺している島だが、その北海道でも、通常の認識では年間捕獲数が10頭に達すれば「かなり多い」と認識される。そしてさらに年間にヒグマを20頭以上駆除している市町村は4ヵ所あるが、これは2.2%に相当する。ところが、遠軽町のヒグマ捕獲数は32頭に達する。(10月末で38頭に増えた)これは尋常でない数字だ。北海道のヒグマの生息数に関してははっきりした数字までは出されていないが、2000という数字が示されたうえで、それ以上と推定されている。仮に単純計算すれば32×179=5728頭。つまり、道内の各市町村が遠軽町並みのヒグマの捕獲をおこなうと、たった1年で北海道のヒグマを3回近く絶滅させられるような数字なのだ。ちなみに、20頭越えの他の3ヵ所は八雲町(21頭)、芦別市(21頭)そして、知床を含む斜里町でさえ23頭の捕獲である。また、遠軽町同様、北大雪山塊(北見山地)を含む周辺市町村の捕獲数は、上川4頭・北見市11頭・滝上町16頭・湧別町1頭。その周辺まで含めても、置戸町8頭・津別町3頭・紋別市7頭・西興部村1頭などとなっている。
 では、遠軽町に特別ヒグマが多く生息しているかというと、そういうことでは決してない。生息数をはじめ性質・気質などヒグマの側に問題があるのではなく、残念ながら、この町の行政対応がまったくちぐはぐなためこのような異常な数字が出てきている。手にする捕獲道具が高性能になった以外、100年前の対策からほとんど何も進歩していない。
 ここまで読み進めてもらった方には理路整然と理解できると思うが、遠軽町では、わざわざヒグマを人里内に寄せながら、その中でとりわけ罠に対して不注意な個体を、ただ漫然と殺しているに過ぎない。つまり、絵に描いたような「防除なしの駆除一本槍」なのだ。その結果、農地の経済被害は拡大傾向を示し続け、人里の危険性は慢性的に増大している。もともと被害に関係のなかったクマを罠のエサでおびき寄せて冤罪グマを量産しながら、trap-shy、掘り返しをヒグマの間に蔓延させている。中でも特に問題なのは、その政策の危険性だ。32頭獲れたということは、2011年の夏休みあたりから、最低でも32頭人里内のエサ場にヒグマがうろついていたことになるが、実際はそれよりはるかに多くのヒグマが遠軽町内の人里を歩き回っていたことになるだろう。現在の政策では、延々安全な人里は出来上がらない。


 遠軽町は、白滝ジオパークやソーラーエネルギー政策など、北海道にあって先進的な取り組みもおこなっている。ただ、農政・鳥獣行政に関しては、少なくともバブル以前か、半世紀前の高度経済成長前期の公害の時代を、そのままの手法で相変わらず続けている。要するに、合理性というのが、自然環境やヒトの安全性まで含めたものではなく、単に経済合理性のみを追求したものになっている。世界的に見れば、ちょうど現在の中国がそういう価値観・時代にあるかも知れないが、先進国の人から見ると、かなり野蛮に見えるかも知れない。農家へのしわ寄せがいっていることに加え、住民そして来訪者への影響はまったく無視できない。
 遠軽町には、白滝ジオパークにおけるジオツアーが進められており、「いこいの森」「マウレ山荘」を擁する武利川流域のアウトドアレジャーエリアが存在する。また、湧別川流域への釣り人やキャンパーも全国からやって来る。それらの来訪者をないがしろにしたヒグマ対策はあり得ないはずだ。
 先年、あるアウトドアレジャーエリアのほぼ中央に、ほとんどまともな注意喚起もされず、1器の箱罠が置かれた。その周辺は、レンタルサイクルでの散策、犬の散歩、昆虫採集、釣り、そしてファミリーでお弁当を広げるような場所だった。現に、箱罠から30mも離れていない河原で、ある家族がお弁当を広げ、イヌを放してくつろいでいた。ある釣り人は、臭いにおいがするなあと歩いていたら、目の前に箱罠が現れたと話す。町の鳥獣行政が、何をどう考えてこのような箱罠設置をおこなうのか、あるいは、その箱罠設置の許可を出す網走振興局、あるいは動物の専門家扱いで駆除を依頼される猟友会のハンターが、どうしてこのような箱罠設置を止めないか、そこは得体が知れない。良心とか責任とかの所在は。とにもかくにも、これに関してはあまりに危険なため、よく箱罠の特性を説明し撤去してもらった。そして今年、今度は、人家の脇に箱罠が仕掛けられた。防除が施されていないサイレージにクマがくるからということだったが、見ているほうとしては気が気でない。同じ説明を柔らかく鳥獣行政に持ちかけたが、「でも、頼まれたら置くしかない」の一言で、どうにも動かずそのまま箱罠は9月いっぱい置かれたままだった。猟友会のほうでは、頼まれたことをやるだけというスタンスのようだが、この姿勢は鳥獣行政としてあまりに無責任と、少なくとも私には見えるし、そのような箱罠の運用が漫然とおこなわれ続けている現実を振興局は把握しているのか否か、いろいろな不信感が少なからず湧いた。
 かといって、人が行かない山奥に箱罠設置となれば本末転倒だろうし、箱罠を利用する場合、周辺の人の流れを把握・配慮したうえで、箱罠の設置場所、そして注意喚起の明確さ・開示の方法に関して、場合によっては観光客等の立ち入り制限をしいた上で、十分確実慎重におこなう必要があるように感じる。
 また、情報開示とともに一般に必要なことは、普及啓蒙だ。上述の箱罠設置では、数名(たぶんキャンプに来ていた小学高学年くらい)の子供が、箱罠設置の看板を見つけ、探検気分で近づいていった。もっとも、看板には「有害駆除」と書いてあるだけで、「ヒグマ」の文字はどこにも書いてなかった。子供にしてみれば、タヌキかキツネが見たかっただけかも知れないし、そういう好奇心が湧く年齢だってあるだろうから、それ自体は責められない。もし仮に責められるとすれば、やはり行政、そしてそれを許している大人ということになるのではないだろうか。

 羆塾では、とにかく人里内にヒグマが降りることを防止する方向で、あるいはもし降りていた場合は山へ追い払うことも含め、観光行政とともにヒグマ対策をおこなってきた。一方でヒグマを人里から遠ざけ、しかし一方で人里にひたすら誘引しているようでは、ヒグマ対策としては不合理この上ない。ヒグマが寄るからと交通事故死したシカ死骸を撤去しているその横に、わざわざシカ死骸を仕込んだ箱罠を置く理不尽は、誰が考えても明白だろう。
 今後、「ヒグマを引き寄せ駆逐する」方向から「ヒグマを人里に降ろさない」方向に政策が動けば、遠軽町は安全に散策や観光・釣りを楽しめる町になっていくだろう。その方法は、現代では十分にある。しかし、現在のままの無分別な駆除を続けている限り、夏休みからシルヴァーウィークにかけて、道内、いや世界で最も危険な町であり続けることを避けられない。
これだけ素晴らしい河があり山がある。それなのに、それを生かせる人がいない。もったいないことだと、ただ素朴に思う。

(→)2011年・北海道各市町村のヒグマ捕獲数(グラフ)※圧縮判






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