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ヒグマの知能をイヌと霊長類の間と表現し、イヌとヒトのあれこれから類推を働かす合理性を書いたが、少なくともイヌとヒトの両方に通用するセオリーがあれば、それはヒグマにも総じて適用できる。イヌの場合は、さすがに人類の友とか言われているだけあってその成長について随分考えられ、育成のカリキュラムもかなりできあがっている。オオカミの一種であるイヌは社会的動物で生後2~3ヵ月までに社会化適期を持つ。その時期にヒトや他犬との親和性を高めその後の教育につなげるが、訓練系のイヌならばだいたい生後6ヵ月で訓練を開始し、1年半くらいで心身ともに成長してIPOの資格も取得できるようになる。その後、若犬期から成犬に成長し心身ともにピークに達するが、一定年齢から老化が始まる、と。ヒトの場合も、6歳までに保育園・幼稚園があって、その後小学校・中学校・高校・大学と教育があって、定年退職してしばらくすると老後とか。どちらも個体差があるしカッチリ決まっているものではないが、ヒグマの場合も、若い時期の教育のシステムや、社会の中での位置と心理的成長、ヒグマ社会全体での意味合い、そして老化が始まるなど節目となるいろいろが規定できる。
動物の行動には「走性行動・本能行動・学習行動・知能行動」の四つに大別できる。高校の生物で学んだ方も多いだろう。それぞれの動物の知能レベルに応じて、その利用割合は概ね下記のグラフに従う。学習のあとに「記憶」という段階があるが、ほ乳類のうちクマやイヌは霊長類に次いで知能が高く、学習行動と知能行動で全行動の80%以上をを占めるとも言われる。そのため、ヒグマに関して学習行動・知能行動を無視した対策というのは不合理を免れ得ない。
ヒグマの行動改善はその意識改善から誘導するのが理想的であるが、ヒグマの行動制御に対しては、上述のうち経験によって学ぶ学習行動と、その学んだ知識・記憶から類推・推理しておこなわれる知能行動が重要である。
学習はさらに細分化され、インプリンティング(刷り込み)にはじまり、パブロフのイヌで有名な条件反射、そして試行錯誤学習・オペラント条件付けに至るが、ヒグマの教育学で重要なのは最後の二つだろう。「経験不足で無知で好奇心が旺盛な若グマ」という言い方を再三してきたが、その若グマがまさに試行錯誤学習真っ只中のクマなのだ。だから、その試行錯誤の中にヒトが積極的に介在して、ヒトにとって好ましくない行動に対して失敗体験を積ます。そのことによって、別の方法でその若グマは対応するようになる。また、ある行動をとったとき高い確率でその若グマにとって負の感情が生まれるよう仕向ければ、例えばヒトや人里に接近したら厳ついイヌとヒトにこっぴどく追い払われ恐ろしい思いをしたとか、やはりその行動をとらなくなる。
知能行動に関しては、それこそヒトのいろいろから類推することが可能だが、ヒグマがどの程度正確に何をどのように記憶するか、あるいはどの程度の類推能力・推理能力を働かせ直面した新たなる状況に対応できるかを正確に知っていく必要がある。そのためには、意図的に強弱をつけたヒグマへの働きかけと明晰な観察と分析が要るが、ヒグマの行動を左右するベースとなっている本能(例えばオオカミに対する忌避・警戒など)を検証し理解することも重要だろう。(参照事例LINK:「具体的対策―――防除と教育」後半)
下図はヒグマの学習曲線・成長曲線あるいは分別曲線などと呼んでいる曲線で、自然環境と人間環境のもとでいかにトラブルを起こさず折り合いをつけてつつがなく暮らしていけるか?という尺度でグラフにしたものだ。正確に言えば、その時代・そのエリアのヒトが許容できるか否かを縦軸に、ヒグマの年齢を横軸にとったグラフである。
赤い破線はヒトが「こういうクマなら容認できる」という一種の合格ラインで、このラインより下のクマはそのクマの問題性の程度によって教育~捕殺までの対応がなされる。
仔熊とは、母グマに連れられて活動する1.5~2.5歳程度までの個体。若グマとは、オスの分散行動が起きるおよそ4~5歳程度までの個体。青年グマとは、その後12歳までの個体。壮年グマとは、その後22歳前後までの個体。それ移行の高齢個体を老年とここでは表現している。北海道で問題視すべきは長くとも青年期までの個体である。老年期にヒグマアルツハイマー的な疾病が生ずる可能性が示唆される事例が幾つか起きているが、研究が不十分でヒグマの老年期問題に関してはよくわからない。脳の老化はわからないが、身体が衰えて自由が利かなくなれば無理をして食べ物を得たり、移動ルートが変わったりで、結果的にヒトと悶着を起こしやすいクマになるかも知れない。
このヒグマの一生の中で、ヒトとの悶着・軋轢を考えた場合、最も重要となるのは仔熊期・若グマ期のいわゆる成長期で、それに次いで青年期の前半までが入ると思う。
下図は、特に人里周り・ヒトの活動エリア周り・里山・裏山のヒグマの青年期までの学習過程を
a)母グマによる初等教育
b)ヒトによる中等教育
c)自律的な生涯学習
の3段階に分けて考えた教育課程である。
図中Bが平均的なヒグマの学習曲線だが、ヒトが存在を容認できるヒグマの対人間合格ラインを仮定すると、必ずしも親離れ時にそのラインを上回るとは限らない。むしろ親離れ後しばらく(3~4歳まで)はヒトと不用意な問題を起こしやすい学習不十分な状態が続くのが普通だろう。
この場合、問題を解消する一つの方向性は、対人間合格ラインをヒトが下げてやることである。それは先述した寛容・余裕などのヒト側の意識の問題である。
もうひとつの方向性は、若グマの学習度をできるだけ早期に上へ持ち上げてやることである。
a)初等教育
母グマによる初等教育期に仔熊に好ましい学習をさせるためには、ヒト側がいい学習をするための環境を整えることに加え、育児する母グマがヒトにとって好ましい性質を既に獲得していなければならない。仔熊に対する教育を効果的に施すためには、ヒトと折り合いをつけて問題なく暮らすできるだけいいメス熊を育て、それをしっかり生存させてその地域に残すことである。
b)中等教育
ヒトによる中等教育期は「若グマの忌避教」と位置づけていが、専門性・ヒグマの習熟度・経験ともに高いレベルで要求されるため、なかなか一般におこなえないものだが、生ゴミ等の人為物を食べるなどの悪い学習をさせない前提条件の元、積極的に若グマに働きかけ、好ましい性質・習慣をできるだけ速やかに獲得できるようアシストする。追い払い・追跡威圧・クマ用の電気柵は現在最も効果的な方法である。
c)生涯学習
仔熊期(a)から始まり若グマ期(b)までにヒトと折り合いをつけられるような方向性で性質・習慣等を身につけたヒグマは、学んだことを常習的あるいは律儀におこなう性質から、その後悪い学習をしなければそのままの方向でヒトと折り合いをつけられる成獣に成長しうる。メスは大規模な移動をせず比較的人里から近い山林で出産・子育てをおこなうだろうが、先述a)の理由でこれ自体はヒトにとっても好ましいことである。オスは分散によって比較的大規模な活動場所の移動をおこなう場合があるが、悪い学習をする人為的環境が広範囲に消されていれば、山塊・森林・裏山でヒトと問題を起こすことなく野生動物ヒグマらしく天寿を全うするだろう。
曲線Aは、これらの方策をとった場合のヒグマの成長曲線であるが、図中では3歳以内に十分ヒトが容認できる個体となっている。
曲線Cは、育児過程で母グマが捕獲されてしまったケース。いい母グマからの母系伝承が得られず学習達成が遅れて無警戒に問題行動をとる期間が延びている。
曲線Dは、ゴミのポイ捨てや無防備な農地の作物を食べることのできる悪い人為的環境で、それらに依存した母グマによって育てられる仔熊の成長曲線。積極的なヒトの教育によっても悪い学習を矯正できず延々問題グマとして存在してしまうケース。
ここで言う「悪い学習」とは、概ね「人為物による餌付け」であり、ポイ捨ての生ゴミ、コンポスト、農作物、燻製小屋、魚の干物などのヒトの関与した食物を食べさせてしまい、そのヒグマが執着を見せながら常習性を伴った行動変化を起こすような経験・学習である。
ヒグマの餌付けの段階にはおよそ3段階あり、まずヒトの目を盗んで食べる「こそ泥タイプ」に、そして次にいわば「ゆすり・たかり」の段階があり、最終的に執着度が増した結果、警戒心を欠如させながら行動をエスカレートさせ「強盗タイプ」に変化する可能性がある。この最終段階の個体を異常グマ・危険グマと呼ぶ場合もあるが、段階が進むごとにそのクマの更生は難易度を増し、第三の段階まで進んだ異常グマ・危険グマをヒトと共存できるレベルまで更生することは、まず不可能である。ゆえに、第一の段階に陥らないように些細な餌付けでも事前に回避するのがヒトの戦略として第一に求められる。
双子の運命
下図は「双子の運命」と呼んでいる2頭の同胎仔熊の成長曲線である。平均的な母グマに教えられて育った二頭の仔熊は親離れ直後対称的な経験をする。Pは、ヒトによって積極的な追い払いを受けてヒトに対して警戒心を持ち、ヒトや人里へ近づきにくくなった個体。Qは、ヒトの活動域で偶然生ゴミを食べて人為食物に依存するようになった個体。Pは「いいクマ」としてヒトに容認されヒトと悶着を起こすことなく裏山で暮らしていくことができるかも知れないが、Qは「悪いクマ」あるいは問題グマ・凶悪グマとなってヒトとクマの軋轢のタネになるか、さもなくば若い段階で捕獲され短い一生を終えるだろう。
すなわち、もし仮にヒトが、悪いクマ・問題グマ・凶悪グマあるいはウェンカムイを生じさせたくなければ、餌付けをはじめとする悪い学習をさせないこと。逆に、この北海道にいいクマ、キムンカムイが暮らし、それらと共生を果たしたければいい教育をする。至極簡単な道理である。
この成長・教育という視点から言えることは、あるクマが問題行動をとってヒトとの間にトラブルを起こしたとき、その個体の年齢を加味して評価をおこなう重要性である。近年、市街地・住宅地近くまで降りて来る若いクマが目立っているが、経験不足でまだ学習過程の若い個体であることを加味し、教育を前提とした評価を与え実際の対策をおこなうべきである。
ベアドッグというのはクマ対策に特化して幼少より育成・訓練された専門犬だが、単にクマを知るための調査やパトロールに活躍するだけでなく、このクマ教育において最大の能力を発揮する。すべてのイヌの原種であるオオカミとヒグマが多くのエリアで競合してきた遺伝子由来の理由もあるだろう。
(執筆中/失礼)
教育の精度と効果の持続性
ただ漠然とヒトに対しての警戒心を与える
ある行動・ある場所への侵入に対して行動を改めさせる
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12+240+(18+780+18)+12=1080 780=28+724+28
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