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Beardog(ベアドッグ)(概要)


















 2010年に丸瀬布におけるヒグマ対策で導入されたベアドッグだが、現在の羆塾の活動を支える存在でもあり、またベアドッグが羆塾の最大の持ち味のひとつともなっている。


ベアドッグとは?
 ベアドッグというのはFCIやJKCのいわゆる犬種ではなく、クマに対して一定の作業をおこなえるイヌのことを従来的にはそう呼んだ。欧米では古来より狩猟にイヌを用いることはごくごく普通におこなわれてきたが、クマ猟に用いたイヌあるいはそこから転じて放牧の牛や羊などをクマから守るイヌが総称して「ベアハウンド」または「ベアドッグ」と呼ばれた。同じくクマ猟に用いられたマタギ犬やアイヌ犬は、その意味で英語に訳せばベアハウンド・ベアドッグということになる。
 近年では、クマの専門家とチームを組んでヒトの活動場所の周辺でクマとヒトとの悶着・軋轢を解決するために相棒として働くクマ対策犬をベアドッグと呼ぶことが多くなっている。ベアドッグのほかに、サル対策ではモンキードッグ、イノシシ対策ではボアドッグなど、野生動物対策のイヌをそのように呼ぶ方式が日本でも定着している。定義はいろいろ考えられるだろうが、羆塾ではクマ対策に特化し育成・訓練され、ハンドラーときっちり意識で結びついてその能力を発揮できるイヌをベアドッグと定義している。その訓練精度は警察犬・軍用犬なみであること、そしてヒトや他犬に対して十分な親和性を持たせてなければならない。もともとはクマ猟に用いられるイヌの総称だったかも知れないが、現在ではその役目や目的が分岐したり細分化され語弊を招くことも多いので、従来型のイヌの本能任せでクマを追い払ったりするイヌをベアドッグとは区別し「クマ対策犬」と呼び、また、日本でクマ猟に使われているイヌを「クマ犬」と呼ぶことにしてる。
 現代風のベアドッグの模索をはじめておこなったのは、私の知る限りカレリアンベアハウンド(Karelian Bearhound)を採用した北米のヒグマ研究者キャリーハント氏だが、そこの犬種・方法はそのまま長野県のNPO法人ピッキオに輸入され軽井沢のツキノワグマ対策に用いられている。対象となるクマの種類・特性に加えベアドッグとして採用した犬種も異なるため、いろいろ細かい差異はあるにせよ、めざしている方向性は同じだろう。
 このベアドッグという方法論の取り組み自体が世界でまだ新しく、最適な犬種・訓練や躾の方法・1チームの頭数、パトロールのフォーメーションや追い払いメソッドなど、まだまだ進化過程の創生期にあるため固定的・断定的に考えず、利点とともにリスクや脆弱性、現実性を見定めていくべき段階にある。未知の領域が多い一方いいほうへの可能性も未知数だが、最も合理的なヒグマ対策の要として期待される方法論であることは間違いなく、率直に言えば「イヌを使わないヒグマ対策ほど不合理な方法はない」とも言える。






羆塾のベアドッグ
 クマ対策のイヌというと猟犬の流用とブラッシュアップがまず思いつくが、羆塾ではまったく別のアプローチでベアドッグをめざした。猟犬は総じて本能任せにクマを追ってしまうため、観光エリアや人里内からのヒグマの追い払い等に難があると考えたからだが、もともと私の頭の中に、よりハンドラーとの連携を密にチームの一員として制御された動きでヒグマをコントロールするイメージがあったためと思う。信頼と尊敬をもとにしたイヌとの密で強い関係性のイメージは、幼少の頃の名犬ラッシーやジャックロンドン、椋鳩十の影響を受けていることも否めない。だが、この手のフロンティアワークは私自身心底面白いと感じ続けなければ持続自体が難しいことも知っていた。そこで私は、躊躇を捨てて狼犬のベアドッグの方向に踏み出した。
 猟犬を外した方向性ではジャーマンシェパード・コリー・ボーダーコリーなどのハーディンググループの犬が最有力と考えられた。ジャーマンシェパードは現在、世界で警察犬・麻薬探知犬・軍用犬など高度な作業を任され「史上最強の使役犬」とも言われる。ボーダーコリーはアジリティー、ディスク競技などでは常勝犬として強さを発揮している。つまり、ハーディンググループのイヌは運動能力に優れ、なおかつヒトと一緒になって作業をおこなうことに長けた犬種群なのだ。最終的に、それぞれの犬種の大きさ、訓練競技会とアジリティーの競技性質の差異などが決めてとなって私はジャーマンシェパードをベアドッグのベースに据えた。既存のジャーマンシェパードでもそれなりにベアドッグの作業は可能と考えられたが、既存犬種にこだわる根拠も薄く、さらに可能性を求めてヒグマ対策に特化した広義の意味でのクロスブリード(犬種を越えた繁殖)をトライした。訓練系のジャーマンシェパードにすべてのイヌの原種のオオカミの血を入れたいわゆる狼犬、これが私が辿り着いた解答だった。


ベアドッグ創生期における課題とアプローチ
 イヌの歴史はオオカミからの能力低下の歴史でもあるともいわれるが、実際特に高度な作業をおこなわせる使役犬の場合、史上最強の使役犬といわれるジャーマンシェパードの弱さを補うために各地域のオオカミの血が入れられることが比較的正攻法としてあり、ロシアの軍用犬・国境警備犬には軍事大国ソ連時代に確立した狼犬ラインが採用され、イタリアのルーポ・イタリアーノという犬も同様の軍用犬である。現在FCIに認定されているサーロスウルフドッグ、チェコスロバキアンウルフドッグもジャーマンシェパードの脆弱性を補う目的でヨーロッパオオカミの血が入れられ作出された狼犬だが、狼犬が最も能力を発揮するのはヒト相手の作業ではなく野生動物、それもヒグマのような強獣相手の作業であると考えられた。その考えは、魁と凛・2頭の狼犬によるプロトタイプのチームが予想をはるかに超えた能力をヒグマの現場で発揮したことから、ほぼ実証されたと考えている。

   
(上写真・左が2010年1月生まれの凛(RIN・♀)。右が2008年11月生まれの魁(KAI・♂))





 キャリーハント氏が採用したカレリア地方の猟犬カレリアンベアハウンド、そして知床半島で近年ベアドッグがめざされてクマ撃ちのブリーディングラインから選ばれたアイヌ犬は、ともに上図のType3にあたる。先述したように、今世紀に入って浮上したベアドッグの可能性は広く高いため、あまりこぢんまりと小さくまとめるべきではないとというのが私の考えだ。ベアドッグ創生期である現在、その犬種ひとつとっても考えうる様々な可能性を実地で注意深く検証しながら模索し最適化をめざさねばならない段階にある。羆塾が2009年に導入した魁とその翌年の凛はType1にあたるが、7年間の模索・テストはそのまま継承しつつ、2018年からは純粋な訓練系ジャーマンシェパードをそのまま使ったType2のラインを実地に投入し狼犬との比較検証をおこなっていく予定である。その検証の中で、狼犬とジャーマンシェパードの混成ベアドッグチームの実現の可能性も想定している。


Beardog Type1(狼犬のベアドッグ)
 ベアドッグに狼犬という特殊なイヌを採用した以上、狼犬についても最低限の説明を加えねばならないだろう。
 狼犬というと、その「オオカミ」という響きだけで危険なイメージを持たれる方が多いと思うが、まずそれが欧米の放牧文化発祥の意図的につくられた風説・作為として取り払ってもらいたい。実際のオオカミは社会性が非常に強くシャイで臆病な野生動物で、とにかく争いを避け嫌う性質が強い。現存するすべてのイヌは正確にいえばオオカミだが(※1)、どうして数多の野生動物のうちオオカミが人類最古の家畜となったか、あるいは、そのヒトと暮らすようになったオオカミがその後千差万別の品種改良を加えられ現在なお「人類の友」などと呼ばれて世界中で飼われているか、そこにはオオカミが本来的持ついろいろな性質・特性が関与していて、獰猛で凶暴な動物というところからはほど遠い。特にオオカミが社会的な動物で言語を持ちやりとりや意思疎通ができる動物であったことは、今もなおその性質を大なり小なり薄めつつイヌに引き継がれている部分だろう。実際私の知る範囲では、オオカミに比べるとイヌのほうがはるかにヒトに対する攻撃性が強く、ジャーマンシェパードベースの狼犬では、イヌのその性質が強く出ることが懸念点となってきた。正確にいえば、軽率にヒトに近づきストレスが累積したりにわかに切羽詰まった場合に逃亡性よりも攻撃性のほうに傾きやすい。クマもオオカミ・イヌも同じだ。警戒心が薄く慣れて、ある意味ヒトを舐めている状態というのは、何かの拍子に攻撃を安直かつストレートにおこなわせやすい。かといって、単純にオオカミの血を濃くすれば、知力・身体の能力はすこぶる高くなるものの臆病・シャイ・警戒心が過剰に強く出て対ヒグマ作業の相棒としては向かないこともわかってきている。狼犬を採用した弱点のひとつは、ロシアやイタリア・チェコなどの例のように安定したブリーディングラインに至るまで、生まれる同胎(仔犬)に純粋犬種以上のバラツキが生じることだが、それはヒグマ対策の現場において各種作業をともにこなしていく中で意図的淘汰(選択)をおこないながらベアドッグとしてのブリーディングライン安定化(固定化)と最適化を一定期間かけておこなっていく必要がある。
※1:現在、生物学的分類ではCanis lupusを「(タイリク)オオカミ」と呼んでいるが、イヌはCanis lupus familiaris(イエイヌ)、つまり「飼われたオオカミ」的なニュアンスでオオカミの亜種のひとつとされている。


ベアドッグは仕事が終われば、躾の行き届いた家庭犬と何ら変わらず、大型犬にもかかわらずむしろ扱いは楽である
ベアドッグとしての適性が不足し家庭犬としての育成に切り替えられた個体とも、ふだんは分け隔てなく暮らす



狼犬の運動能力と知能
 狼犬の運動能力と知能は、例えば訓練系のジャーマンシェパードと比べても「すこぶる高い」と表現できる。オオカミの特徴としてGシェパードなどに比べて頭骨が大きいということがある。イヌの進化が頭骨の小型化・脳の縮小であるという表現でもいいが、これはオオカミに収納されている脳の大きさが大きいということで、特に嗅覚・聴覚の感覚器官が鋭くそこから得られる多くの情報を正確に処理し動作に結びつけることができ、使用できる言語数もイヌよりはるかに多いことがわかっている。また例えば、オオカミの血が濃いノースは、林道であれば時速70㎞に迫るスピードで走ることができ、高さ225㎝のシカ用ネットフェンスを数歩の助走から笑いながらワンタッチで飛び越えることができる。私自身多くの訓練競技会やアジリティーの大会を見てきたが、その運動性能はイヌの次元を明らかに越えている。もちろん、ノースに準ずるこれらの高い能力を生かすためには、幼犬の頃からハンドラーとの関係性をきっちり作りヒグマ対策に特化した必要な躾や教育・訓練を施すことが必要だが、そこをクリアできれば、狼犬はあらゆる地形・気象・時間帯・状況などで優れた能力を発揮することができる。
 軍事大国だったソビエト連邦時代よりロシアの軍用犬・国境警備犬にもジャーマンシェパードベースの狼犬が採用され卓越した能力を発揮し活躍していることは知られている。その狼犬はジャーマンシェパードのこなす作業をすべてこなし、さらに困難な作業を余裕でおこなうという。1999年、純血のオオカミとジャーマンシェパードを交配させたヴャチェスラフ教授(professorVyacheslav)によれば、「この交配で生まれた狼犬は、頑健で滅多に病気をせず、聴力と嗅覚は他犬種と比べてもはるかに優れている。運動能力も高く、例えば、普通の犬なら6~8時間が限界の追跡作業を、この狼犬は3日間連続して行うことが可能で、これらの優れた能力に加え、高度な社会性をもちリーダーには絶対服従する。そのためトレーニングも容易である」との評価がなされている。
 ヴャチェスラフの指摘する追跡能力のデータは驚くべき数値だが、それ以外の狼犬に対する評価は私の見立てとまったく同じである。ジャーマンシェパードに比べて鋭敏な感覚能力・高知能・高運動能力というのが狼犬の特徴だろう。ベアドッグとして危険で高度な作業をおこなう際に唯一ジャーマンシェパードに劣る部分は、「信頼と尊敬」をもとにした関係性が密で強固なハンドラーとでなくては、現場でその能力を100%発揮してくれないことだ。そして、オオカミの血が濃ければ濃いほどその「信頼と尊敬」を得るために要する時間と労力が大きく、いわゆる犬の飼育・訓練からするとかなり特殊な能力を必要とするかも知れない。つまり、この「信頼と尊敬」にかかわる部分をいかに正確に強くスピーディーに獲得できるかが狼犬をベアドッグとして用いる際のキモになる。そのスキルが前提として、ヴャチェスラフの言う「トレーニングも容易である」が実現するし、狼犬の優れた能力を余すところなくヒグマ対策に用いることができる。

 注意を要するのは、その知能や感覚能力の高さから、誤魔化しが利かないというところだろう。ヒト側の小手先の戦略やフリを見抜いてくるため、イヌの一切合切を正面から受け止め、その上でリーダーシップをとっていく必要がある。ただ、いったん強い信頼と尊敬を得られれば、これほどハンドラーとの阿吽の呼吸で動けるイヌもいないだろう。群れですべての生活を送るオオカミ譲りの最もいい部分で、1頭のシカをチームで追い詰めていくように、ハンドラーの意志に沿ってヒグマを誘導しきっちり稜線筋まで追い払うことも可能だ。


 上述の部分が狼犬の優れた能力は同時にこのイヌを扱う困難さでもあり、幼少時よりただ馴れ合いの関係でお茶を濁したような関係性に留まったり、あるいは覚悟・愛情の不足が起因して受け止めきれなかった場合、狼犬が成熟したある年齢で急に制御が利かなくなったり、いわゆるアルファ症候群に陥って問題行動が噴出したりすることがある。それでいわゆる犬の訓練士であっても狼犬をきっちり扱える人が、少なくとも日本にはほとんどいない。結果的に狼犬は「難しい」「危険」などのネガティブな印象や二次的情報ばかりが氾濫し、日本においてその能力が発揮される機会を持ててこなかった。イヌの世界に普通に普及しているイヌのマニュアルでいくら巧妙に扱おうとしても不足が生ずる。イヌとオオカミの両面から理解を深め、二刀流の扱いをマスターしなければならない。しかし、これはポテンシャルのすこぶる高いじゃじゃ馬慣らしのようなもので、イヌが悪いわけでは決してない。飼う側の理解やスキルの問題、そして恐らく覚悟や人格の問題だと思う。
 ただ、羆塾のベアドッグのラインに狼犬とジャーマンシェパードのツートップを持ってきた理由のひとつにここがある。つまり、一般的な訓練士のスキルで扱えるベアドッグとそのベアドッグに可能な作業内容。普及に向けてそのあたりの洗い出し必要と考えられた。


育成の難しさと面白さ
 狼犬のベアドッグ育成の困難は作業自体の難易度・危険度が高いことに加え、上述の通りイヌのセオリー・マニュアルがそのまま通用しないことが起因するが、それがとりもなおさず面白さにつながっている。また現場では、毎日の作業、歩く一歩一歩がお互いに命を預け合った形のものになるため、訓練も含め困難ないろいろを乗り越えた相棒犬とヒグマに対するのは無条件で充実感があり、なおかつその活動がヒトとヒグマの双方を守ることにつながるため、役立つことへの喜びにもつながっている。
 幼い魁をここに迎え入れる時、「こいつと一緒に行けるところまで行く」と覚悟を決めたが、その魁との日々が去り、今こうして魁を失い独りになったが、正真正銘、自分はヒグマ相手に魁と駆け抜けたこの人生にまったく満足で、ほかの数多の幸せが霞んでしまうほど幸せな男に思う。

 特に私が意識的に欠いてきたことのひとつは、ベアドッグの育成とそのベアドッグをヒグマの生息地で使いこなすためのスキルを伝承し次世代の人材を作ることくらいだろうか。イヌの専門家や訓練士は日本にも星の数ほどいるが、その人にクマや自然を教えてベアドッグハンドラーになってもらうのは非常に困難なことだと思う。クマや野生動物の専門家にヒグマと狼犬のベアドッグのあれこれを教えるほうがはるかに容易に思われる。「必要は発明の母」とも言われるが、ヒグマの生息地をきわどく調査したりヒグマに遭遇したり追い払ったりしながら、恐くて踏み込めず痒いところにどうしても手が届かなかったり、にわかに危険な状態に陥ったりする経験を積むと、相棒として一緒に歩いてくれるイヌの存在がどれほどありがたく自分を助けてくれるかが心底わかるし、経験してきた危険な状況を想像すればイヌに対して必要な厳しさも自ずと自分の中に生まれるだろう。そもそもヒグマや自然を知らない犬の訓練士が愛犬を連れてベアカントリーを歩くことほど危険な事はない。順序として、まずヒグマの現場を歩き回ってヒグマを知りながらベアカントリーのスキルを高め、つぎのステップでベアドッグという順序にならざるを得ない。だが、ヒグマ問題の根本が理解されていくにつれ、あるいはヒグマ対策が成熟期に入るにつれ、現場のヒグマの専門家・対策官がチームとして相棒のベアドッグを連れて歩くようになるのは必然とさえ思える。

   


追記)ハイブリッドウルフ・ライン
 幼少時にベアドッグ不適格と判断し家庭犬としての育成に変更したノースはハイブリッドウルフと呼ばれる極めてオオカミに近い個体とされるが、このノースの観察や試行錯誤が近似的にオオカミを理解する方法論になっていて、そこから得られた知識・認識・理解は、通常の狼犬を扱う際に非常に有意義に働いている。
 また、2010年前後からはじめた「ハイブリッドウルフの糞と尿によるヒグマの忌避テスト」では予想を上回って効果があるとわかってきていて、今後もそのテストを続行する意義を見出している。ノースはベアドッグではないが、ただ毎日落とす糞ひとつで、多くのヒグマの行く手を阻みUターンさせる能力を持っている。
  
  (↑)家庭犬一直線でお気楽に走り回って暮らしているノース。運動能力・知力・感覚とも狼犬の中では群を抜くのだが・・・

 ベアドッグの概論はこのあたりで切り上げるとして、「狼犬の特性」「ベアドッグの育成」「ヒグマ対策の具体的な方法」などについての詳細は量が膨大となるため以下のリンクに記しておく。

     (I'm sorry.リンク作成中)

第7章:ベアドッグ(Beardog)                 ・・・57
  第1項:ベアドッグに適した犬               ・・・59
  第2項:Wolf-CrossBreedによるベアドッグの最適化と注意点 ・・・64
  第3項:ベアドッグの育成・教育と訓練           ・・・71
  第4項:べアドッグを用いた対ヒグマ活動の現場       ・・・78
     ベアドッグ2頭態勢の理由―――多頭飼いとパックシステム(BeardogPackSystem)
     フォーメーション(歩く陣形)とリーシュのオン/オフ
     ベアドッグにオフリーシュは必要か?
     ベアドッグの意義と実効性
  第5項:ベアドッグのオフリーシュメソッドの法的解釈とマナー ・・・96
  補足項:狼犬の社会化適期とブリーディング        ・・・103
あとがき)三者の関係学―――ヒトとオオカミとヒグマ     ・・・107
(2016年7月・岩井)



もくじ
第1章:基盤となる育成――人や他犬への親和性と非攻撃性の重要性
  魁(KAI)と凛(RIN)の社会化と教育
    補足)ハイブリッドウルフのノースに関して
  ベアドッグの育成・教育と訓練(概論)――優秀な超アルファとしての条件

第2章:ベアドッグを用いた対ヒグマ活動の現場
  ベアドッグ2頭態勢の理由―――多頭飼いとパックシステム
  フォーメーション(歩く陣形)とリーシュのオンオフ
    A.オンリーシュ・メソッド――並列型・直列型・自由型・1頭による作業
    B.オフリーシュ・メソッド――状況と目的に応じた臨機応変なフォーメーション
  ベアドッグにオフリーシュは必要か?
    1.調査において
    2.パトロールと夜間のシカ死骸回収作業
    3.「追い払い」において
    4.訓練において
  ベアドッグのオフリーシュメソッドの法的解釈とマナー
  自己基準による活動―――他者へのマナーと配慮
    1.場所の制限と許容範囲
    2.しつけ及び訓練の条件
  犬を動かす重要性<犬を止める重要性

参考資料:【「いこいの森」周辺のクマの出没状況】

(2015年9月・岩井)




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